Home > People > The Stream > ドラマ「風のガーデン」の敬語

ドラマ「風のガーデン」の敬語 2009年1月15日放送

 1212日は「漢字の日」、「1(いい)2(じ)、1(ひと)2(じ)」の語呂合わせで、日本漢字能力検定協会が1995年に制定した記念日として定着しているようです。最も世相を反映したその年の漢字が選ばれ、この日に発表されています。昨年の漢字は「変」、Change-変化、変革を唱えた次期米国大統領オバマ氏や金融異変、気候変動などの「変化」を象徴する漢字として選ばれたようです。

ちなみに、北京オリンピックなどから「金」、金融危機で大幅な株価の下落や景気の落ち込みから「落」なども候補に上ったようです。毎年恒例となった、京都清水寺・森清範貫主により大型の和紙に「変」の字が力強く揮毫される様子が報道されました。

それまで続いた「愛」、「命」に比べ、一昨年は食品偽装問題に象徴される「偽」、そして昨年の「変」、どこかネガテイヴな語感が2年続き、やはり、しばらくは「乱」となるような予感もします。

 漢字と言えば、時の総理が「頻繁」を「はんざつ」、「踏襲」を「ふしゅう」、「低迷」を「ていまい」などと読み違え、内閣支持率低落の一因になったのではと大騒ぎになりました。二代前の総理には「KY―空気読めない」という称号が付けられ、昨年4月、この番組で「軽薄!ローマ字略語」という題名で取り上げました。今は「KY」は「漢字読めない」の略語だそうで、何か情けなくなります。

 昨年の芸能界では「おバカタレント」が大ブレークとか。年末年始のテレビ番組はお笑いタレントと一緒のバラエテイが多く、日本語とも言えないような乱れた言葉が飛び交い、笑いで不景気を吹き飛ばすどころか、何とも不愉快な気分にさせられ、見る気にもなれませんでした。とは言え、やはり人気は高いようで、恒例の紅白歌合戦で50%近くの高い視聴率を記録したのは、「羞恥心」のグループにこのおバカタレントたちが加わった瞬間だったそうです。

 急激に押し寄せた大不況の波、派遣切りや契約切り、解雇などで住むところさえも無くした500人にも及ぶ人達が集まった日比谷公園の「年越し派遣村」が大きく報道される中、KY―漢字読めない総理をいただき、お笑いタレントやおバカタレントがはしゃぐテレビ番組が溢れる・・・やはり、「変」という漢字に象徴される世相と言えるのかも知れません。

 そんな中、昨年109日から1218日まで11回に亘って放映された、フジテレビ開局50周年記念ドラマ「風のガーデン」には、大いに感動させられました。脚本は、人生の機微を描く天才と言われる倉本聡。妻を自殺に追いやった優秀な麻酔科医の息子を勘当し、故郷の北海道富良野に7年間も近づくことを許さない父親、二人の孫に母親が丹精込めて造り上げた花畑「風のガーデン」を守らせています。最後は息子自らも末期の膵臓癌に侵され、和解した父と子供たちに見守られながら最後を迎えるというのがあらすじです。

 父親を演じる緒方拳はこの作品を最後に帰らぬ人となりましたが、私が最も好きな俳優の一人で、彼の出演した映画やドラマはほとんど見ています。息子を演ずるのは、これも名優の中井貴一、孫娘を黒木メイサ、精神障害を持つ孫息子を神木隆之介が演じています。

主題歌、エンデイングは平原綾香の「ノクターン/カンパニュラの恋」、ショパンによる名曲を土台に彼女の魅惑的なヴォーカルが富良野の大自然と花畑「風のガーデン」を背景に見事にマッチしています。この曲は平原綾香により紅白歌合戦でも歌われました。

 私が感銘を受けたのは、緒方拳演じるおじいちゃんと母親の死の真相を知らされていない孫たちの会話が、すべて「です」「ます」調の敬語で交わされているところでした。

「口のきき方」などの著書や、コラムで「敬語のちから」などを連載している梶原しげる氏も、このドラマの敬語の巧みな使われ方に次のようにコメントしています。 “突然両親を奪われるという心の傷を受けた孫と祖父との暮らしは、普通の家族以上に感情のコントロールへの配慮が必要なのだろう。「不憫(ふびん)な孫」と冷静に向きあうために、おじいちゃんはあえて「です」「ます」の丁寧語を使うのではないか。孫に対する緒形拳の終始穏やかなふるまい、丁寧な言葉は、おりおりの感情に左右されることなく、孫たちの人生を丸ごと引き受けようとする祖父の決意の表れと感じた 

 ドラマの祖父と孫の関係は特殊な状況とは言え、敬語での会話は「風のガーデン」の美しい花々のような清涼感を与えてくれます。テレビなどでの言葉使いの乱れが気になるこのごろ、一石を投じたこの作品の関係者に敬意を表したいと思います。七人いる私の孫たちにも、明日から敬語で会話したらどうなるか・・楽しい想像です。 

 
 
リンク
 
当サイトをご覧になるにはFLASHプレーヤープラグインをインストールする必要があります。
Get FLASH PLAYER
▲ページトップへ
 
ギャラリーウォーク 〒357-0041 埼玉県飯能市美杉台4-14-16 KDC内  TEL/FAX:042-971-3120         
Copyright © 2010 KDC CO., LTD All Rights Reserved.