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静かなブーム「坊主バー」 2009年2月5日放送

現役のお坊さんが運営する「坊主バー」が注目を集めているという一部の新聞やテレビ報道があり、どんなところか興味があって、先日会社時代の友人達との会食のあと訪ねて見ました。

地下鉄丸の内線四谷三丁目駅から歩いて3分、大正から昭和中期にかけて当時の東京でも有数な花街・三業地として栄えた荒木町の一角に、目立つ白色のネオン看板「坊主バーVows Bar」があります。狭く薄暗い階段を二階へ上がると、扉の脇には「南無阿弥陀仏」の木の看板、扉を開けるとお香の匂い、正面には「曼荼羅」の絵図が掛けられ、何とお仏壇もあってまさに仏教の世界。名刺に会長とある真宗大谷派の僧侶 田口弘願氏にお話を聞いて来ました。

今年の正月三が日の初詣の人出は去年より121万人も多い9,939万人と発表されました。これは警察庁が統計を取り始めた1974年以降最高の記録だそうで、比較的に好天が続いたことと、不況の影響で神頼みという人も多かったようだというのが警察庁の見解。どこまで信用できる数字か分りませんが、赤ん坊や出かけられないお年寄りなどを除けば、ほぼ日本の全人口に近い実に驚くべき人数です。

宗教行政を管轄する文化庁が発行している「宗教年鑑」によると、神道、仏教、キリスト教などの宗教団体とその神社、寺院、教会などの数は226,000以上、信者の総数は約214百万人だそうで総人口のおよそ1.8倍、一人が複数の宗教の信者ということになります。僧侶や牧師さんなどいわゆる教師数は657,915人もおられるそうで、何となく実感はありませんが、この数字からは日本は世界に冠たる宗教大国と言えるのかも知れません。

中でも長年に亘って最も安定的で日本の文化や国民生活に影響を与えてきた仏教は、宗派が157もあり信者数94百万人、お寺の数87,365、僧侶は313,438人、神道とともに最も生活に密着した宗教と言えます。親族や親しい友人だけでなく仕事関係を含めると、多い時には年に10回ほども通夜、葬儀、法要などに参列して、意味は良く分らないとしても、故人を偲びながら、有り難いはずのお経を聞く・・私だけでなく多くの人の仏教との接点です。

明治時代に制定された檀家制度という安定した基盤があるため、主流の真言系、浄土系、日蓮系などでは宗教本来の一般市民への伝道や布教活動が十分行われていないという指摘もあるようです。

「坊主バー・Vows Bar」の1号店は15年ほど前に大阪心斎橋に出現しました。「バー」という形態で広く一般の人々に布教したいという強い思いから、現職の僧侶が仕掛け人だったそうです。

Vow」は英語で“誓い、願い”の意味、日本語の「坊主」と似た発音で、なかなか洒落ています。この四谷は2号店で、マスターを務めるのは大阪心斎橋店でバーテンをやったことのある浄土真宗本願寺派僧侶・藤岡義信さん。経営の繋がりは無いが、東京・中野には3号店も開店されています。私達が訪れたのは午後8時半でこの日の初めての客、女性3人を交えた5人のグループも入って来ました。店内はカウンターもあって145人は入れる広さ、正式に袈裟を纏った田口会長、作務衣姿のバーテンを務める藤岡マスターとアシスタントの女性の3人で運営されています。私達3人の席に加わった田口会長、京都東本願寺で修行、20歳で僧侶となったそうです。

子供のころから眼が悪く20年前には完全に視力を失い、“平成の世は1年しか見ていない”と微笑みながら話してくれました。

眼が見えなくなってから見えてきたものも多いという話から、地獄、極楽の話、巧みな話術で止まるところを知らずという感じです。

店には若い人だけでなく6070代のお客も多いそうで、客の入り具合を見ながら、毎晩10時ころには説法の時間を持つそうです。

 日本酒から洋酒までありとあらゆる飲み物が用意されていますが、驚いたのは「坊主バー・オリジナル・カクテル」の名前。「極楽浄土」は肯けるとしても「無間地獄」「灼熱地獄」から「愛欲地獄」、いずれも800円、強烈なネーミングに驚愕です。私が試したのは、沖縄のハブ酒がベースという赤い色の「愛欲地獄」。坊主バーにどうして愛欲地獄なのか、田口僧侶に聞くのを忘れてしまいました。

工場長、英国の製造会社の社長などを歴任した私の会社時代の先輩が、今年の1月初旬、JICAのシニア海外ボランテイアとしてベトナムへ出かけました。発展途上のベトナム、仏教国で儒教の精神が浸透しているのか、バスに乗ると若い人達が白髪の先輩に100%席を譲るのに感動したそうです。 GDP世界第二位、物質文明に恵まれながらも、何となく心の荒廃を感ずるこの頃、「坊主バー」の試みを通して仏の教えが少しでも広まることを願いたい思いです。

 
 
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