Home > People > The Stream > インフルエンザ報道を考える

インフルエンザ報道を考える 2009年7月9日放送

先日、新型インフルエンザの国内感染者が1千人を越えたというニュースが、目立たない小さな記事で載っていました。4月末頃の、あの嵐のような全マスコミの報道狂想曲が全く別世界のようです。狂気のような報道に影響されて、628日出発予定だった私たちのカナダ旅行も中止に追い込まれ、今頃はカナダ・トロント近辺で楽しく過ごしていたはずで、まことに残念な思いです。

 4月末、政府は新型インフルエンザが原因とされる死者100人を超えたメキシコからの直行便の機内検疫を開始。物々しい防護服に身を固めた検疫官の姿が朝から晩までTV放映され、今にも猛毒の疫病が襲ってくるような恐怖感を人々に与えたのではないでしょうか。

その後アメリカ、カナダ便も対象となり厚労省は大学病院などから200人以上の応援をかき集め、130便、1万人を超える入国者に対応しました。新型であること、強毒性想定で動かざるを得なかった背景は理解できるとしても壮大なムダとも言えます。後に厚労省の専門家からも“やり過ぎ”というコメントがあり驚かされました。

 カナダ在住の友人からは“桝添さんという人は目立ちたがり屋ですか。カナダではあの程度の段階では大臣ではなく報道官や次官の役目。大臣は重大曲面でのみ登場すべきでは”という便りがありました。私たちのカナダ旅行の中止などまだしも、修学旅行の中止などが相次ぎ観光業界などへの被害は甚大、政府からは雇用維持のため補助金を出すそうです。政府の対応やマスコミの報道振りを含めた事の顛末の総括が必要ではと感じます。ゲリラ豪雨のような当時の報道振りに比べ、感染者が1千人を超えても極めて小さな扱い、秋口に向けての感染者増大やそれに対する医療施設の対応など、相応の報道がないのは無責任と言えるのではと思います。

 最近のマスコミ、特にTVの報道番組は「芸能報道化」「劇場化」の傾向にあるような気がしてなりません。スポーツニュースなどもビーチバレーやバトミントンの美人選手のペアばかりが2位でも3位でも取り上げられ、優勝したペアを伝えないことすらあります。ゴルフもしかり。米国での経験では、あのタイガー・ウッズでさえ、10位以内にいなければ画面には滅多に出て来ないのが普通です。

最近の宮崎県知事の国政進出の報道も劇場型、芸能報道化のような扱いで、この国のレベルを低下させるのではという気さえします。

 最近、気になっていることを一つ。目下、日本にとって北朝鮮問題は焦眉の急。ニュースで流される平壌放送の例の女性報道官の甲高い声はもうお馴染み、ただ同時に流される日本語訳の字幕の「将軍様」という表現が気になります。韓国の友人に聞いて見たら、北朝鮮や韓国では目上の人には肩書きの下に「ニム―様」を付けるのが習慣、社長様、先生様はごく普通のこと。従って翻訳する場合は「将軍」で良く、「将軍様」という日本語訳はおかしいと思います。

新聞の「見出し」について、61日朝日新聞の「新聞ななめ読み」というコラムが大変興味ある話題を取り上げています。毎週土曜日夕方に放送される「NHK週刊こどもニュース」という人気番組で、10年以上に亘り立役者のお父さん役を務め、現在はジャーナリストとして多方面で活躍している池上彰氏が執筆を担当した記事です。

524日の朝日新聞一面トップに「老人ホーム苦情急増」という大見出しに「10年で5倍に・・・」と中見出しが付いた記事が載りました。記事は“全国の消費生活センターに寄せられた苦情は07年に327件で過去最多、08年は集計中だが400件、記録のある10年前98年の5倍以上”というもの。その後、池上氏が厚労省のホームページで調べたところ、98年の有料老人ホーム数は全国で287、定員は3万人強。比較されている08年の有料老人ホームは4,110、定員は202千人、つまり施設数は14倍、定員数は6.5倍に増えています。つまり苦情の絶対数は5倍でも施設当り、定員1人当りの苦情は減っているのが実情。一流新聞の一面見出しのインパクトは強烈なわけで、施設当り、定員当りの解説がないと「苦情が5倍に増加」だけが読者の印象となって、ミスリードしてしまうわけです。

池上彰氏の批判コラムを、当事者の朝日新聞自身が載せていることにせめてもの救いを感じますが・・。

 「街角の反応」などと称して新橋駅辺りでのインタビューが良く放映されますが、私の知人で“2-3分喋ったのに放送されたのは5-6秒、まるで真意が伝わっていない”とぼやいていました。

 情報化社会の現代、マスコミの持つ役割や影響力の大きさは計り知れず、強い責任感、十分な基礎調査、細心の配慮が必要でしょう。

最近のマスコミ報道の劇場化、芸能化傾向に一言苦言を呈しました。

 
 
リンク
 
当サイトをご覧になるにはFLASHプレーヤープラグインをインストールする必要があります。
Get FLASH PLAYER
▲ページトップへ
 
ギャラリーウォーク 〒357-0041 埼玉県飯能市美杉台4-14-16 KDC内  TEL/FAX:042-971-3120         
Copyright © 2010 KDC CO., LTD All Rights Reserved.