Home > People > The Stream > 居酒屋1,000円時代と「洋酒天国」復活

居酒屋1,000時代と「洋酒天国」復活 2009年9月3日放送

 歴史的な結果となった総選挙も終わり、さてこれからの経済や暮らし向きがどうなるのか大いに気になります。最近発表された7月のスーパー売上高は前年比−4.8%、好調だったコンビニも25カ月振りに−7.5%、比較的涼しい夏とタバコ自動販売機のタスポ効果も薄れたと説明されていますが、やはり強い消費不況の風が吹き続けているようです。弁当もワンコイン(500円)時代、先日、ある経済雑誌に「居酒屋1,000円時代が到来」という記事が載っていて、消費者の節約指向は止まるところを知らずという感じです。

 仲間と時おり出かける近くの大手居酒屋チェーン、焼酎のボトルを入れて結構な量を飲み、たらふく食べても123千円程度で、いつも「安い!」という印象を持っていますが、1,000円の居酒屋というのはどんなところか、ちょっと想像できない安さです。

ガード下にたくさんの飲み屋がひしめくJR神田駅南口、「一軒め酒場」という妙な名前の居酒屋があります。実はこのお店、去年の12月までは「養老乃瀧」という名前で、東京・豊島区に本拠がある老舗の居酒屋チェーン養老乃瀧株式会社が経営しています。同社によると“昨今の経済状況下では、より低価格の商品やサービスが求められ、さらにリーズナブルな価格で料理やお酒を提供する必要がある”と判断、社名も出さず、店名も「一軒め酒場」と変えてテストマーケテイングを行っているのだそうです。すでに御徒町と神奈川県大和にも出店、年内にさらに都内に3店を出す計画とか。

立ち飲み屋ではなく、キチンと席に着く居酒屋「一軒め酒場」のメニューはまさに“安い!”という印象。枝豆150円、串カツ1本99円、豚キムチ炒め、ほっけ焼きが一番高い料理で350円。生ビール中ジョッキが330円、たしかに結構飲んでも1,000円でオツリが来る勘定でしょう。「養老乃滝」の平均客単価は約2,500円、私の行きつけの居酒屋もほぼ同じ、決して高いという印象ではありません。

それでも、知名度の高いブランド名を伏せ、さらに安い別な業態の経営実験に乗り出すのは、現在の居酒屋チェーン業界の置かれた状況の厳しさを物語っていると言えるでしょう。

 居酒屋の起源は江戸時代に遡るのだそうです。酒の量り売りをしていた酒屋で、その場でも飲ませるようになり、次第に簡単な肴も出すようになった、つまり「居続けて飲む酒」で「居酒」から「居酒屋」になったというわけです。

 1970年代までは、居酒屋と言えば日本酒中心の「男の世界」だったのですが、今は飲み物もワインやチュウハイなど女性向けも揃え、料理も分厚いメニューが一杯になるほど種類が増え、グループや家族でも楽しめる外食産業の一角を占めるようになっています。

 特に1980年代からは居酒屋の全国チェーン化が急速に進み、合理化された経営で料理や飲み物の手頃な価格が実現されて来ました。

話題の「養老乃滝」は老舗ですが、「白木屋」「魚民」などを経営するモンテローザ社、「和民」「和み亭」のワタミ、「酔虎伝」「八剣伝」を経営するマルシェ、大和実業の「やぐら茶屋」、ニュートーキョーの「庄屋」、「さくら水産」を運営するテラケンや、「つぼ八」「村さ来」など枚挙にいとまがありません。いかに不景気の時代とは言え、お酒は雰囲気で嗜み、楽しむもの、ただ安さだけを追いかけては、本当の酒飲みたちを失うのでは・・と危惧します。

 一方、最近サントリーが“洋酒天国”の復活に力を入れ始めているという嬉しいニュースもあります。“洋酒天国”は1956年に創刊されたサントリーの広報誌。開高健、柳原良平、後に山口瞳氏などそうそうたるメンバーを編集部に抱えた、当時の最も注目を集めた企業刊行物の一つで、最盛期には20万部も発行されていました。

80年以上にも及ぶ洋酒事業の歴史を持つサントリーですが、1980年代以降は焼酎の台頭や居酒屋文化に象徴されるような飲み方のファッションの変化で、ウイスキー事業は長期低迷を余儀なくされて来ました。ウイスキー事業の復活を目指し、「角瓶」や「オールド」などの味やデザインのリニューアルだけでなく、洋酒文化の復活へ向けた広報、広告活動、地道な営業活動などを本格化させるプロジェクトを発足させたと報じられています。

 今の熟年世代にとっては“洋酒天国”に象徴されるサントリーの宣伝は時代をリードする文化のような存在で大いに影響されました。給料に応じて一番安い「トリス」から「レッド」「角瓶」から「オールド」へレベルを上げて自分への自信と誇りをも感じて行く。ワイワイと賑やかに大勢で呑む居酒屋の酒もいいが、一人静かに“オンザロック”の氷の音を聞くバーの雰囲気も味わい深い趣です。

 
 
リンク
 
当サイトをご覧になるにはFLASHプレーヤープラグインをインストールする必要があります。
Get FLASH PLAYER
▲ページトップへ
 
ギャラリーウォーク 〒357-0041 埼玉県飯能市美杉台4-14-16 KDC内  TEL/FAX:042-971-3120         
Copyright © 2010 KDC CO., LTD All Rights Reserved.