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夢ではない?「宇宙エレベーター」 2009年10月1日放送

 鳩山新首相は東大工学部出身、初の理工系総理として話題になっています。これにちなんでというわけではありませんが、夢にも見ないような未来技術「宇宙エレベータ」を取り上げました。

 旧ソ連のユーリイ・ガガーリンによる人類初の宇宙飛行からすでに50年、今までに準軌道飛行を含めた宇宙飛行経験者は500人を越え、今では3,000個以上の衛星が地球を回る時代。宇宙空間に建設が進む国際宇宙ステーションで4カ月半も過ごした日本人宇宙飛行士・若田光一さんの話題もまだ記憶に新しいところです。

 地上から36千kmの宇宙空間にある宇宙ステーションへ、建設のための物資や宇宙飛行士を運ぶのは、今はスペースシャトルの役目、その名の通り地上と宇宙を行ったり来たりするわけですが、毎回の打ち上げには巨大ロケットが必要で莫大な費用と長い準備時間が必要となります。地上と宇宙ステーションを結ぶエレベータがあればと思いますが、中近東にある世界一高いビル、ブルジュ・ドバイも僅か800mに過ぎず、3万6千キロの宇宙空間へのエレベータなど、やはり夢物語を遥かに越えたとんでもない話に思えます。

 しかし、SFの世界では相当前から出されていた発想。40年以上前に映画化された「2001年宇宙の旅」は今でも話題に上るSF映画の不朽の名作ですが、この映画の原作者アーサー・C・クラークが書いた「楽園の泉」にはすでに宇宙エレベータが登場しています。    いずれにせよ、まだSFや空想の域を出ないと思っていたら、先日ある雑誌に“ただの夢じゃない「宇宙エレベータ」”という記事が載っていて驚きました。現実味を帯びてきたのは20世紀末に開発された新素材・カーボンナノチューブの発見、米国はもとより日本でも実現のための研究が本格的に始まっているそうです。

宇宙エレベータの実現には、ケーブルの強度は通常の鋼鉄の180倍必要で、カーボンナノチューブがこれを満たすというわけです。

 エレベータと言っても、静止軌道上の宇宙ステーションから地上に達するケーブルを垂らし、このケーブルを伝って昇降するイメージとなります。宇宙ステーションは地球の引力と遠心力とのバランスで静止軌道上にあるわけで、ケーブルを地上に伸ばすと同時に、つりあうように反対方向へもケーブルや重りの役目を果す錨を伸ばして行く必要があります。地上から宇宙ステーションを経由して、さらに上方へ延びるケーブルの先端までは約5万から10万kmのケーブルの長さが必要となるわけです。ケーブルと言っても、実際には「リボン」と呼ばれるカーボンナノチューブ製の帯状のエレベータ通路が作られることになります。

地上のエレベータ基地は赤道近辺が最適なわけですが、気象条件や政治的安定性などから、ガラパゴス諸島近辺やモルデイブ近辺の海上が建設候補地として挙げられているそうです。

 エレベータの動力には電気が使われます。宇宙ステーションまでの運賃のコスト試算によると、現行のロケットでは1kg当り約1千万円掛るのに対し、エレベータを活用すれば2万円に軽減できるのだそうで、建設費は別として圧倒的に有利となるのは明らかです。

 エレベータの速さは目下の計算では時速200km程度で、宇宙ステーションまでの所要時間は1週間の長期となります。これでは居住性を重視したエレベータの設計にしないと普通の人は長時間のストレスに耐え切れないそうです。ただリニアモーターの技術を活用すれば所要時間は1時間近くに短縮できるとされています。地球の重力で最初は低速でも、重力の影響を離れるに従い加速して行きます。リニアモーターの場合の最高時速は64,000kmに達するそうで、まさに想像を絶する夢の宇宙鉄道という表現がピッタリでしょう。

 米国でこの計画を進めているのは米国宇宙協会(National Space Society)で、NASAの研究部門・NIACやEureka ScientificHigh Lift Systemsなどの研究機関が参画しています。実際の建設作業を担うLift Port社によると、最大積載量5トン、所要時間4時間、1年に数百回往復可能なエレベータの運行開始予定日は、2018412日と具体的に発表までしているのです。NASAの公式ホームページを覗いて見ると、いかにもリアルな宇宙エレベータの想像写真が掲載されています。どこまで信じて良いのでしょうか。

 日本にも、「社団法人 宇宙エレベータ協会・JSEA」という組織があり、日本大学理工学部精密機械工学科の青木義男教授が中心となって各種の活動が開始されているようです。最近まで地上のエレベータでも立て続けに起きた事故、それでも、いずれ月までの「宇宙エレベータ計画」も夢ではなくなるのでしょうか。

 
 
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