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海に浮かぶ滑走路−羽田ハブ化への鍵 2009年10月22日放送

 政権交代で新しく誕生した民主党内閣の一ヶ月、様々な問題で新任各大臣が発信するメッセージが何となく新鮮です。関心を呼んでいる問題の一つに“日本の翼・JAL”再建の話題があります。

 就任早々の前原国交大臣が旧政権の有識者会議を解散、新たに任命された専門家チーム「JAL再生タスクフォース」が発足し、金融機関への債権放棄と債務の株式化、人員削減の大幅増、経営陣の刷新などを軸とする再生方針でマスコミが騒々しくなっています。

 1024日公開予定の映画「沈まぬ太陽」も、悲惨なジャンボ機墜落事故を軸とした、明らかにJALが題材となっている山崎豊子の渾身の力作の映画化です。前売券の売れ行きも好調なようで、原作が発売されるやいなや買って読んだ本、好きな俳優の一人・渡辺謙主演ということもあって、私も是非鑑賞したいと思っています。

 長期間の米国駐在とその後も海外関係の仕事が多かったため、私もJALの“50万マイラー”の1人、50万マイル―80万キロ以上日航機を利用した人のことです。合計では、おそらく百万キロは越えていて、個人的にも日本の翼としてのJALには強い愛着があります。 実際には、米国など10時間以上の長時間飛行では、落語や演歌が聞ける、日本映画が見られる、“うどんでSKY”というカップ麺も頼める・・などが理由でJALを多く利用したというのが本音でした。

 JALの経営不振は、国策会社だったことによる“親方日の丸”的な高コスト体質にも一因があるのでしょうが、採算の取れない多すぎる地方空港、世界的な趨勢であるオープンスカイ政策への対応遅れ、内向きで将来を見据えない羽田―成田の“内際分離”政策など、国の貧困な航空行政も大きな要因と言えるのではと思います。新政権下のJAL再建計画で何とか立ち直って欲しいと願っています。

 来年10月完成予定の羽田空港の四本目のD滑走路は、「埋め立て地」と「鋼鉄製の桟橋」をドッキングさせた「ハイブリッド滑走路」と言われる画期的な工法で、この番組の話題として取り上げようといろいろ調べていました。そこへJAL問題から、前原大臣の「羽田ハブ空港化構想」発言、森田千葉県知事の反論などでマスコミが大騒ぎとなる中、今日は偶然にも羽田空港の話題となりました。

 2,500mのD滑走路の内、23は従来の埋め立てで土地を造成する工法ですが、13は多摩川の河口部分に当るため、土台が鋼鉄製の桟橋で造られます。多摩川の流れを遮らず、滑走路の下を自由に水が流れて自然環境を守る桟橋構造と、従来からの埋立地の上の滑走路が併用され、これが「ハイブリッド滑走路」と呼ばれる所以です。

 桟橋を支えているのは海底に打ち込まれた鋼鉄の柱。羽田沖の東京湾の水深は1419m、さらに海底から20mほどは軟弱な地盤、そのためジャンボジェットの離着陸にも耐えられるように、直径1.6mの鋼管が海底70mの岩盤まで打ち込まれています。「ジャケット」と呼ばれる鋼鉄製のユニット構造物が、この鋼管の上に組み上げられて行く構造になっています。

 「ジャケット」は幅63m、奥行き45m、高さが32mもあって、13階建てビルに相当する大きさ、重さが1,300トンもあるそうです。このジャケットを198個つなぎ合わせ、東京ドーム40面分に相当する13の滑走路が出来上がるというわけです。滑走路と空港ビルをつなぐ誘導路も同じ桟橋構造となる計画で、使われる鋼鉄は全部で約43万トン、これは東京タワー100塔分に相当するのだそうです。

ジャケットは工場で製作、海上で組み立てる方式で納期の短縮を図っています。総額5,700億円のプロジェクトはまさに壮大です。

 海中、海上という過酷な自然条件下、最大の課題はやはり「錆び」の克服で、ジャケットの下部にはチタン製のカバープレート、海中の鋼管もステンレスを使って特殊な表面処理を施し、海水を常に浴びる環境でも滑走路として100年の使用に耐える設計だそうで、近年の建築技術の凄まじい発展振りに感動すら覚えます。

 4本目の滑走路完成で羽田空港の発着能力は30万回から40万回に増えます。それでも拡張が難しい成田空港と合わせても、将来予想される航空需要の増大をカバーできないのだそうです。国際ハブ空港としての機能を果せない羽田―成田の「内際分離」などに拘らず、両空港を合わせて一体運営し、韓国、香港、シンガポールなどとの競争に勝つ方策を探るべき時だと思います。

 明治43年完成の現在の日本橋と同時期にNYには2階建て4車線の橋、米国の高速道路にはイザという時のために戦闘機の離着陸可能な機能があると言います。日本の航空行政は将来を見据えた国家戦略に基づく大きな構想力に欠けているのかも知れません。

 
 
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