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書店の新しい試み−丸善・松丸本舗 2009年11月26日放送

 重要文化財に指定されている東京駅丸の内側駅舎は、赤レンガの建物を残すべく、目下保存修復工事の真最中です。5年前にこの丸の内北口の旧国鉄本社跡にオープンしたのがオフイス街のショッピング・モール「丸の内・OAZO(オアゾ)」。エスペラント語でオアシスの意味ですが、“丸の内の○と大手町のO”の間にあって、“AからZまで”何でも揃うというのがそのネーミングの由来です。

OAZOの代表的なショップは今年創業140周年を迎えた大型総合書店、丸善丸の内本店。1階から4階を占め、本の在庫は和書100万、洋書20万冊という日本でも最大級の書店、本だけでなく、1千本近い万年筆などを揃えた文具売場、丸善が元祖と言われるハヤシライスを提供するカフェなどもあり、周りのビルの高層化が進むことで人口密度も増え、旺盛な需要に支えられて好調なようです。

去る1023日、この丸の内本店4階の一角に本屋さんの新しい試み、「ストーリーのある書棚・松丸本舗」がショップ・イン・ショップの形でオープンされ話題を呼んでいます。

「松丸本舗」は「千夜千冊」などの著書で知られ、編集工学研究所を主宰し、日本の“知の巨人”の一人と言われる松本正剛氏の「松」と丸善の「丸」を取って付けた名前です。

 日本の出版業界の市場規模は1996年のピークから年々減り続け、12年間で24%も減少、上昇の傾向も見えない衰退産業の一つと言われています。同じ運命にある街の書店も最近8年間で25%も減少するなど、規模縮小に歯止めがかからない状況だそうです。若者を中心とした活字離れ、インターネットによる書籍販売の急速な普及などが大きく影響しているのだと思われます。

 この番組でも何度か取り上げた歴史・時代物関係だけに特化し、書籍だけでなく関連グッズなども販売するユニークな書店「時代屋」など、何とかこの苦境を脱するための試みがなされていますが、今回の丸善の「松丸本舗」も一つの挑戦と言えるでしょう。

 「松丸本舗」は丸の内本店の4階の一角に、他の売り場とは完全に独立した約65坪のスペースを取っています。私が訪ねたのは週日の午後、退勤前という時間帯で店内もそれほど混んではいないのに、オープンしたばかりの「松丸本舗」はかなりの混雑でした。

 買いたい本のタイトルや著者、出版社などが決まっていて書店に来る客はそれほど多くはなく、こんなジャンルのこんな本を・・という曖昧な目的の人がほとんどのようです。 松丸本舗では、最新作や売れ筋の本を中心に並べるのではなく、テーマ別に、松本正剛というプロが選んだ“知を深めるため”の書籍を並べるという方法で、総数5万冊を陳列。テ−マによっては洋書、和書に混じって漫画も置かれています。大きさも違えば、ジャンルも異なる書籍が横にも積まれたり、棚の高さもいろいろに陳列されている光景は、書店ではなく、何んとなく家の書棚のような雰囲気です。

 松丸本舗のパンフレットに記された松本正剛氏の主張は、「知を深めるためには、情報を多面的に得る必要がある。自分が追い求める一冊を見つけるというより、自分が求める知を得るために必要な本をジャンルにとらわれず並べるよう心がけた。だから、そこには漫画や小説といった区分はない。本の中身だけでなく、それを並べる棚にも文脈、ストーリーを持たせた。」ということになります。

 今年は松本清張の生誕100周年、TVの特別番組や映画など多彩です。松丸本舗の呼び物の一つも「松本清張の書斎」を再現した書棚とコーナーで、人気を集めています。全10巻の「日本戯曲全集」などは現在出版されていない廃刊本で、古本屋から取り寄せられビニールで包装されて陳列されていました。もちろん売り物です。

“のぞき見思考”のコーナーという触れ込みで、NHK大河ドラマ「風林火山」の信玄役で有名となった歌舞伎の市川亀次郎や女優の山口智子などの書棚コーナーもあり、これも新しい試みです。

資生堂名誉会長・福原義春氏の読んだ本、約800冊の展示には大変興味が湧き、何か買って見ようかと言う気にさせられます。

 「松丸本舗」オープンの前日行われた記者会見で、丸善の小城社長は次のように語っています。書店はこれまで、少しさぼって来ました。書店の本の陳列方法は永く変わって来ませんでした。本の形態や出版社名、外形表示などに従って並べることしかやって来ませんでした。進化を怠って来ました。丸善は反省しています。何とかしなければならない。ではどうやったらいいのかずっと考えてきました。” 「松丸本舗」は出版、書店業界の不振の中、創業140周年を機会に踏み出した新しい書店の形の一つの試みと言えるでしょう。

 
 
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