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ワニ12匹の高級トランク「世界のカバン館」 2010年1月21日放送

 東京浅草、隅田川に架かる駒方橋のすぐ側に世界のカバンの名品を集めた「世界のカバン館」があります。カバン、ケースの大手メーカー「エース(株)」の創業者・新川柳作氏が長い時間を掛けて蒐集した世界31ケ国、420点のカバンの秀作が展示されています。

 カバンは漢字で「鞄」と書きます。“革で包む”わけで、表意文字の典型でしょうか。語源由来辞典によると中国語で「文挟み(ふみばさみ)を意味する「夾板」を日本語読みした「キャバン」が転じたという説や、オランダ語の「Kabas(カバス)」から転じたなど諸説があるが、中国語のキャバン説が有力だとしています。

 最近は、ケースやバッグという言い方が一般的で「かばん・鞄」はあまり使われなくなっているようですが、大小の鞄メーカーから小売業者まで179社の会員で構成される「社団法人日本かばん協会」というのがあって、活発な活動が続けられているようです。

 今の小学生はランドセル、私たちの時代は中学校まで布製の肩掛けの、まさにカバン、高校時代、一部は皮製の手提げカバン、大学では各自それぞれ、会社の名前の入った茶封筒に書類を入れての通勤が多かったころから、やがて、アッタシェ・ケースからノートパソコンの入るバッグ。老若男女、何らかのカバンなしの人は見かけず、カバンはそれぞれの目的に合わせて、時代の背景や人生のステージと深く繋がる、愛着ある持ち物となっています。

 海外出張が多くなって最初に買ったアタッシェ・ケースはサムソナイトの厚さ10cm以上もある、黒くて重くて頑丈なもの、飛行機の座席の下に置いて脚を乗せると疲れず、ただし、書類を詰め込むと重くて肩が凝りました。その後は書類も減って、今、再建問題で話題のJALのマークが入った、かなり高級感のある薄手のアタッシェ、今でもイザという時の持ち出し用に重要書類を入れて使っています。人それぞれに、新婚旅行や初めての海外旅行に買ったスーツケースなど、思い出の詰まったカバンも多いことでしょう。

 さて、話題の「世界のカバン館」。私が訪れたのは今年一番の厳しい寒波で東京に初雪を記録した112日。エース(株)東京本店ビルの受付で住所・氏名を書くと“最上階の8階へ行き、電気を付けてご覧下さい”と受付嬢、何と見学者は私ただ一人でした。

 31の国ごとに展示、やはり最も多いのは入念な仕上げのイタリア、続いてファッション、モード大国のフランスでしょうか。革の材料も様々で、やはり牛革が一番多いのですが、水牛、象、山羊、アザラシあたりまでは納得、アリクイ、カバなどには驚きです。動物だけでなく、ワニはもちろんサメ、ウナギ、カエルなどカバン館ならではの逸品、珍品が見られます。

 圧倒されたのは、1981年フランスで造られた「カバンの王様」と云われるワニ革製の巨大なキャビン・トランク。たった3個しか造られなかった内の一つという最高級品です。何と1個当たり12匹分のワニ革が使われていると説明されています。お値段は幾らだったのかの説明はありませんでした。

 飛行機の無かった時代は船での海外旅行、船旅用のキャビン・トランクは当時の特権階級の持ち物だっただけに、豪華、頑丈、巨大という表現が当てはまる展示品が多く、1874年にドイツ国家から金賞を受賞した「絶対壊れないトランク」など興味を惹かれます。

1919年、第一次世界大戦終結、ヴェルサイユ宮殿で開かれた「パリ講話会議」に日本から出席した西園寺公望公が実際に使った渡航用トランクなど歴史的な展示品も注目されます。

 今時の船の旅はクルージング観光旅行、私も会社の仕事で70人ほどのお客さんを案内してハワイ諸島の56日のクルージングに夫婦で参加の経験があります。男性はまだしも、普段着、スポーツ、夕食会から各種パーテイまで134回、2度と同じ服装をしない女性陣は大変、2週間、1ケ月、半年のクルージングでは巨大トランク無しには不可能ということになるのでしょう。

 「みんなの党」代表の渡辺喜美氏の父君、故渡辺美智雄氏がよほど気にいったのか、使い古してぼろぼろになった東レ・デラクールの合皮バッグや、作家・吉川英治が愛用した1940年頃の牛革グラッドストーンケース、長嶋、王の巨人選手時代の背番号入り遠征用スーツケース、オリンピックで活躍した柔道の山下泰裕、マラソンの野口みずきのサイン入りスーツケースなども飾られています。

受付嬢によると、浅草観光のパンフレットにも紹介され、日によってはかなりの入場者もあるという、窓からの隅田川の眺めが美しい、目立たない、小さな博物館「世界のカバン館」でした。

 
 
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