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フードデザート 2010年2月18日放送

 先日のNHK番組「クローズアップ現代」で「フードデザート」の問題が取り上げられました。食後の美味しいデザートの話かと思ったら、このデザートは砂漠の意味、「食の砂漠」という深刻な話題でした。砂漠は“Desertで語源はラテン語の“見捨てられた場所”、もう一つ“Sが入ると“Dessert・・食後のデザートになるわけで、スペルとアクセントが違います。

 番組をご覧になった人も多いと思いますが、導入部は、ツナ缶を開けているお年寄りの映像が出て、この時のナレーションが“近頃、缶詰やインスタント食品ばかりの偏った食生活で健康を害するお年寄りが増えている・・・”というものでした。

 都市の中心部などでは、大型スーパーなどが郊外に移ったことや、不景気の影響もありシャッター商店街という言い方に象徴されるように、身近にあったスーパーや八百屋、魚屋などが閉店してしまう所が多くなっています。このため特に車を利用できない高齢者の買い物環境が悪化し、肉や魚、野菜、果物などの生鮮食料品をほとんど摂ることが出来ない人たちが多くなっているのだそうです。

こうした安価で良質な生鮮食料品の購入が困難な地域を「フードデザート―食の砂漠」と呼んでいるわけです。

 ある大学の調査によると、こうした地域に住むお年寄りの二人に一人が栄養不足だという結果が報告されています。この調査に参加した専門家の話によると、高齢者の慢性的な栄養不足は老化を加速し、肺炎や脳卒中などに罹るリスクが大きくなり、結果的に寝たきりにつながることになるとしています。

 フードデザート問題が最初に深刻化したのは1990年代のアメリカやイギリスでした。都市部の貧困化とスラム化が進行し、人口が郊外に移動、商店街も移ってスラム化がさらに進んで空洞化するという深刻な社会問題となりました。高齢者に限らず、低所得階層などいわゆる社会的弱者が都市中心部に取り残される形で食の砂漠化が進みました。イギリスでは、こういった貧しい食料事情が癌などの発症率増加の原因だという研究報告が多数出されています。アメリカでは、食の砂漠地帯に生鮮食料品に代わってジャンクフードを扱う店が増え、メタボの人達が急増したという報告もあります。

こういった背景から、欧米ではフードデザートを深刻な社会問題と捉え、すでに10年以上前からこの問題に取り組み始めています。

 一昨年10月、この番組で「都会の中の限界集落」というテーマで、65歳以上が人口の50%を超える限界集落は、過疎化する山間地や離島だけでなく、東京のど真ん中、新宿の都営住宅・戸山団地にも存在するという話を取り上げました。この限界集落の問題も、そのまま食の砂漠問題に直結して行くのだと思います。

さらに、ここ数年の不況や高い失業率、非正規労働者の増加などから、高齢者だけでなく、若い人達や外国人労働者などへの食の砂漠問題も深刻化する可能性が高いと考えられています。 

NHKの番組で紹介されるまでは、あまり話題にもならなかった食の砂漠問題ですが、日本でも茨城キリスト教大学の岩間講師や徳島大学田中准教授など6人のメンバーによる「フードデザート問題研究グループ」が結成され、昨年あたりからさまざまな活動や研究報告が発表され始めています。やはり、欧米に比べ問題意識が遅く、甘いと言えるのかも知れません。

この研究グループでは、東京都心部のフードデザートマップを作成・発表しています。青果店の店当りの客数を想定し、高齢者の人口密度から青果店の密度を引いた数字を「フードデザートレベル」として計算し、高い地域を赤く塗った地図です。赤く塗られた地域の広がりには、何か無気味さを感じさせます。茨城県水戸市の同様なマップも発表されています。

急成長するネット販売が7兆円を越えてデパートやコンビニの売上を上回ったようです。1年前の1月、この番組で食材のネット通販で成功している「オイシックス」という会社を紹介しました。食の砂漠地帯へも、ネット通販を上手く活用できないのでしょうか。

パソコンが無くても、難しい操作のいらない簡単な注文端末機の使えるインフラ整備など、ムダが多いと言われる行政機関のIT投資分やネット販売で恩恵を受ける各企業が分担すれば、それほど大きな費用は掛からず、不況対策にもなるのではと考えます。

フードデザート問題は高齢化、過疎化、社会的弱者の増加などの問題などと深く関わり、国民の健康医療にも大きく影響します。逆に、考え方によっては大きなビジネスチャンスなのかも知れません。

 
 
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