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「羽二重団子」−東都のれん会 2010年3月18日放送

 日暮里駅に近い根岸・芋坂に、紺色ののれんに「羽二重」の白抜き文字がいかにも老舗を偲ばせる「羽二重団子」の本店があります。

先にご紹介した「東都のれん会」のメンバーで、創業は今から190年も遡る文政2年(1819年)という老舗です。

 経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交互に1本ずつ交差させる織物が「平織り」ですが、羽二重は経糸を細い2本にして織るため、柔らかく、軽く、光沢のある最高級の絹織物となります。

「羽二重団子」は、伝統の団子の光沢と粘りとシコシコした歯ざわりを羽二重にちなんで名付けられたのでしょう。

 商品は4つ刺の生醤油をつけて焼いた焼団子と、こし餡を使った餡団子、これに「しづくあん」という一口大の餡団子の3種類のみ、いわゆる、こだわりの「一品商い」です。焼団子も餡団子も1串の値段は231円、近所のスーパーで時折買って食べる安物団子は4つ刺3本で105円、新宿にある「追分だんご本舗」でも4つ刺1本が140円、老舗ののれんと伝統の価値に付けられた値段なのでしょうか。

 (株)羽二重団子の会長、六代目澤野庄五郎氏によれば、やはり団子の命は生地にあり、羽二重団子では庄内産「ささにしき」を自家製粉しているそうです。お湯で練って、蒸気で蒸し、臼と杵で搗くのが昔からの基本工程、特に“搗く”が肝心で、羽二重団子では“よそが300回なら600回は搗け”が伝統の言い伝えだそうです。

昔は全工程が手作業、今は串で刺す仕事以外は機械化されているものの、伝統の味は守り続けていると誇りを持っています。

 手間をかけて良く搗かれた団子は、引っ張れば餅のように伸び、光沢があり、しこしこして粘りがあり、かつ歯ぬかりしない立派な団子になるというわけです。世の中には全く搗かず、砂糖と粉を混ぜて、練って蒸して丸めただけという団子もあるそうで、これが羽二重団子の伝統の食感との値段の差になっているのでしょう。

 羽二重団子の特長の一つはその形、扁平で平たく作られています。焼き団子の火を芯まで通すための形で、世の中、団子は丸いのが主流で、平たい形は極めて少数派だそうです。

 1串の団子の数は2個から5個までいろいろ、4つ刺が最も多いそうで、これには江戸時代の貨幣が関係しているようです。江戸時代、もともと5つ刺で5文だったのが、明和5年(1768年)、時の勘定奉行 川井越前守によって「波銭」という新貨幣が発行され、4文に相当するとされたことから波銭一枚で買える団子も4つ刺となり、以来、主流になったというのが、澤野庄五郎会長の解説です。

 「火事と喧嘩は江戸の華」と言われますが、火事の多かった江戸中心部からの非難場所として風光明媚だった日暮里・根岸界隈に、当時の豪商などがこぞって別荘・・と言っても実際は妾宅が多かったようですが・・を建てたと言われています。明治・大正の頃になっても粋で風雅な住宅地として憧れの土地柄だったようで、こんな環境から、羽二重団子本店の辺りにも多くの文人墨客が移り住んだようで、作品にも多く取り上げられています。

夏目漱石の「我輩は猫である」の一節。“行きませう。上野にしますか。芋坂へ行って団子を食いましょうか。柔らかくて安いです。”

正岡子規の俳句 芋阪の團子屋寝たりけふの月”や、“名物や月の根岸の串團子”などいくつかの句に読まれています。

 NHKドラマで取り上げられ、話題の司馬遼太郎「坂の上の雲」では、“この茶店は「藤の木茶屋」とよばれて江戸のころからの老舗なのである。団子を売る茶店で、その団子のきめのこまかさから羽二重団子とよばれて往還を通る人々から親しまれている。”

 羽二重団子は東京近辺でしか売られていません。支店は日暮里駅前の1店だけ、常設デパートは浅草松屋のみ、三越、高島屋、伊勢丹、そごう、西武、東急などの東京近郊の一部支店の銘菓コーナーでも販売、ただしいずれも、土、日の2日間だけなど、極めて限定されています。駅構内の売店もありますが、本店に近い上野、日暮里、御徒町、秋葉原、神田、新橋に限られています。日もちが1日だけというお客様本位の伝統の味へのこだわりからでしょう。

  昔からの団子作りの古い道具類や文豪たちの貴重な書などが展示されている「羽二重団子資料館」が常設されています。また、毎年2、6、11月には「だんご寄席」という、落語と六代目庄五郎氏による「谷中・根岸昔話」というトークショウが本店二階の広間で開催され評判となっています。私も先日訪ねて見ました。お値段はさておき、190年という歴史、伝統の重み、漱石や子規も味わったという感慨に浸りながら、ゆっくり時間をかけて噛みしめて来ました。 

 
 
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