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異色な立ち食いそば屋 2010年7月29日放送

  今月は2回に亘って最も日本的な食べ物、納豆とおにぎりを異国の地アメリカで売り込もうと頑張っている人達の話題をお届けしました。今日は、これも日本的な食べ物“そば”の話、TVで紹介され、毎日行列ができるほど人気の出た、東京・西新橋のビジネス街にある異色の立ち食いそば屋をご紹介します。

 立ち食いそば屋の原点は、時代劇などによく登場する江戸時代の“屋台そば”という説が有力なようですが、戦後、列車の待ち時間に手軽に食べられることから、鉄道駅の構内に続々と開店され、今でも立ち食いそばと言えば“駅そば”が連想されます。

 もう何年も前の話ですが、商談でアメリカ人のお客と常磐線の水戸駅を度々利用していました。ある時、ちょっとお腹が空いて、駅そば屋で“天ぷらそば”を勧めたところやみつきとなり、毎回訪れる度にどうしても食べたいという不思議なアメリカ人でした。

 ロスアンジェルス郊外に比較的日系人が多く住んでいるガーデナという町があります。ここに「大介」という日本のそば、うどん、ラーメンの食堂があって昼食によく利用しました。

「音を立ててすするのは、ここではマナー違反ではありません」と英語で大きく壁に張り出されていたのが印象的でした。スープやスパゲッテイなどを音立ててすするのは絶対に禁物と躾けられてきた欧米人と、すすりこまずには麺類は味わえない日本人、これは食文化の違いでしょう。水戸駅の駅そばがやみつきとなったアメリカ人、やはり音を立てずに苦労して食べていたような記憶があります。

 安くて早く、手軽な立ち食いそばは多忙なビジネスマンにとって格好な昼食、ビジネス街にも目立つようになっています。

 最近のTV番組で取り上げられて以来、昼時は長い行列が絶えない話題の立ち食いそば屋「そば処 港屋」は港区西新橋にあります。

 交差点の角にあるお店の外観は黒一色の高い壁、看板も「MINATOYA」とローマ字、どう見ても立ち食いそば屋には見えません。入口の側に置かれた「そば処」という和風な行灯看板だけがいかにも日本そば屋と思わせるだけです。

 私が訪ねたのも昼時とあって、十数人の外の行列は店内に入っても続いていました。内装は白と黒を基調としたモノトーン、斬新で前衛的、3m四方ほどの大きな御影石のテーブルの真ん中には水が張られ、ピアノ曲のBGMが流され、普通の立ち食いそば屋とはちょっと違う雰囲気です。ほとんどの客はネクタイ姿のサラリーマン、黙々とそばに取り組んでいました。

 メニューは一番安い「もり」が600円、「海苔もり」「胡麻もり」が700円、「海苔胡麻もり」800円で、名物となった「冷たい肉そば」「暖かい鶏そば」が850円の6種類だけ、大盛りは100円増しです。

 駅そばや普通の立ち食いそばに比べ、かなり高めの設定です。

 私が試したのは話題になった「冷たい肉そば」。普通の立ち食いそば屋と同じように、食券を買って待つこと3分ほどでそばは出て来ましたが、満席状態でなかなかテーブルが空きません。
 載せられている山盛りのそぼろ状の牛肉と海苔、胡麻でどんぶりの下にあるそばが見えないほどです。つけ汁は鰹節風味の奨油ベースなのですが、何と赤くラー油が浮いていて驚かされます。そばはちょっと黒みがかった田舎そば風でコシがあって少し固め、一口食べての感想は「実に、微妙に美味い」でした。ラー油のピリ辛感が隠し味なのでしょうか、牛肉も巧みな組み合わせなのかも知れません。

 御影石のテーブル上には刻みネギ、天かす、生卵が山盛りに置かれています。とりあえず刻みネギだけ、少し食べてから生卵と天かすを入れて見ました。生卵で味はまろやかになり、最後の一本まで、何か特別なそばを味わったような食後感でした。

猛暑が続く中、牛肉と胡麻、そして日本そばには考えられないラー油がエネルギーの源になるのかも知れません。お客も働き盛りの比較的若いサラリーマンが主体といった感じも受けました。 
最近は「食べるラー油」が大流行、ご飯にかけても美味しいという「石垣島ラー油」がきっかけで、桃屋やSB食品など大手食品メーカーも続々と新製品を発売して評判になっています。

創業200年以上という麻布十番にある「総本家更科堀井」や明治13年創業という「かんだやぶそば」など東都のれん会の伝統的な日本そば屋さんたちは、つけ汁にラー油が入ったりする昨今の珍現象をどう受け止めているのか、大変興味の湧くところです。

 東都のれん会の一つ、森鴎外や池波正太郎も愛したという上野の「蓮玉庵」へでも出かけ、味比べでもして見ようかと思っています。

 
 
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