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江戸東京伝統野菜 2010年12月2日放送

 師走に入り日ごとに厳しくなる寒さ、暖かい鍋料理が似合う季節ですが、欠かせない白菜や葱など野菜の高値が続きそうな気配です。

今年は春の低温に続いて、まだ記憶に生々しい夏の猛暑で夏秋野菜が打撃を受け、10月以降は一転して低温に見舞われ、秋冬野菜も生育が遅れて例年より出荷量が少ないのだそうです。

農水省の最近の調査では11月の野菜類の小売価格は例年の5割も高く、しばらくはこの水準が続くと報道されています。

 天候不順の影響や輸入依存の問題、人工光線による水耕栽培など野菜の工場生産の増加傾向、200万人近い週末農業の急増など、野菜はいろいろな課題を抱えているように思います。

野菜が注目を浴びる中、今日は練馬大根、谷中の生姜など、じわりと人気が出て来た江戸東京・伝統野菜の話題を取り上げました。

 私たちが毎日食べている野菜のほとんどは昭和50年代から導入された、いわゆる「交配種」です。年々改良が加えられて見た目の形が揃い、日持ちが良いことなどから規格・選別のし易さ、段ボールによる効率的な流通が可能となるなど、いつでも、どこでも、豊富な種類の野菜が1年中食べられるという恵まれた環境です。

 例えば江戸川区の小松川が発祥の地と言われる「小松菜」も、現在市場に出回っているものは、見かけは小松菜でも中国のターツアイやチンゲンサイを掛け合わせたものだそうです。伝統的な小松菜は2日も経つと萎れてしまうが、今のものは1週間経っても見かけは新鮮そのもの、市場の要求に沿い年々改良されているわけです。

 一方の伝統野菜は自家採種がベースの「固定種」で、同じ種を引き継いでいる野菜のこと。その土地の気候風土に馴染み、四季それぞれ、その土地ならではの伝統的な食文化を育んできた野菜です。

しかし、栽培が難しいなどの欠点も多く、栽培する農家は大幅に減ってしまいました。特に東京近辺では急激な都市化の進行や、改良が進む交配種の大量生産、大量流通などで、今は栽培する農家はほとんど無くなっているのが現状のようです。

10年ほど前から、固定種の保存に危機感を抱いたJA東京のグループが固定種野菜のルーツとなる土地に「説明看板」を設置し始め、これがキッカケとなって伝統野菜が各地域で再認識されるようになり、今では人気が出て、地域活性化にもつながるとして活発な取り組みが始まり、静かなブームを呼んでいるようです。

「江戸野菜」という言い方は昔からあったわけではなく、むしろ練馬大根、谷中生姜、滝野川牛蒡など、それぞれの地名がつけられているのが通例のようです。徳川幕府開府以来、江戸では各藩の大名たちが地元の野菜をそれぞれの江戸下屋敷で栽培するようになり、

その種が流出、江戸での新たな品種が生み出されて行きました。

練馬大根も尾張の国の「春日井村 宮重」の宮重大根がルーツです。

 「江戸東京・伝統野菜研究会」の代表で、この分野で大活躍の大竹道茂さんによると、江戸東京野菜とは@季節限定で“旬”がある伝統野菜、A東京または近郊で栽培されて来た固定種、B江戸から明治、大正、昭和の各時代に市民の食生活を支え、食文化を育んで来た野菜・・と定義付けをしています。

 代表的な江戸東京野菜としてリストされているのは、すでに取り上げた練馬大根、谷中生姜、小松菜を筆頭に目下約20種類です。

「鳴子うり(金まくわ)」は、新宿区の鳴子坂で育てられています。元和年間(161524)に美濃国の真桑村から農民を呼び寄せ、新宿鳴子で作らせたものがルーツだそうです。

 文京区本駒込の「駒込ナス」、足立区扇近辺の「足立の水せり」、北区滝野川では「牛蒡」に加え、長さが1mもあり細長いのが特徴の「滝野川にんじん」も上げられています。

 面白いのは「早稲田みょうが」。江戸時代には、現在の早稲田大学の近くを流れる神田川流域の北側斜面には「みょうが」がたくさん自生していたそうで、大振りで赤みを帯びた形が良く、香りも評判で江戸庶民に好まれていたようです。今はほとんど見かけず、早稲田大学の学生グループも含めた「早稲田みょうが捜索隊」が組織され、自生のみょうがを探しているそうです。

 10月には、全国各地の野菜が集まる築地市場の「市場まつり」で江戸東京野菜が販売され、長蛇の列が出来たと報じられました。

江戸東京野菜を使った料理もあちこちで紹介され、ある雑誌に載せられた日本橋の和食店「日本橋ゆかり」の3代目、野永喜三夫さんの“野菜は旬のもの、当たり前に1年中食べられるものではないことを見直すいいキッカケでは・・”というコメントが印象的です。 

 
 
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