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東日本大震災と百万羽の折鶴 2011年4月21日放送

 9.0の巨大地震、想像を絶する大津波、目に見えない恐怖感の付きまとう原発被害、どれ一つとっても最大級の国難に同時に襲われた東日本大震災、2011年は、明治維新の1868年、太平洋戦争敗戦の1945年に続く日本現代史の第三の分岐点と位置付けられるだろうという論調も目立っています。

 今日は大震災からすでに40日余、関連の報道はマスコミだけでなくネットなども含め、ありとあらゆる媒体を通じて24時間溢れるように世界中に流され続けています。外国の報道振りは歴史、文化、社会、民族などの違いを背景に日本とは異なった色合いでなかなか興味深いものがあります。

315日の「ニューヨークタイムズ電子版」は、東京発の記事として“顔の見えない無名の作業員50人が残っている”という内容で報道、ABCテレビも“福島の英雄50人、自発的に大きな危険を冒して残った原発作業員”と放送、オバマ大統領も17日に行われた声明で“日本の作業員の英雄的な働き”と引用しています。

これが欧州にも波及し「フクシマ・フィフテイ」という表現となりました。日本のマスコミには作業員を英雄視するような報道はほとんど見当たらず、いかにも欧米的というかアメリカ的な記事の作り方、表現の仕方という感じを持ちました。

原発事故の最前線で危険な作業に携わるのは東京電力の社員はもちろん、東電工業や東電環境エンジニアリングなどの子会社、原子炉を製造した日立、東芝の社員たちです。地震発生後に約800人いたこれらの人達も15日朝の24号機の爆発で750人が退避、監視などのために50人余が残り、これが「福島50」となったようです。

実際には、柏崎刈羽原発などからも応援が駆けつけ、18日朝には「フィフテイ」ではなく、すでに580人体制に戻っていたのです。

ネットを通じて流されている米国CNNテレビの312日のニュースでは、巨大地震と大津波によって史上稀に見る無残な被害を報道すると同時に、こんな状況にもかかわらず日本人の冷静さや沈着振りに感動し、パニックや暴動にならない秩序や礼儀正しさを盛んに褒め称える内容となっていました。

米国のCNNは世界中に流されています。その影響もあるのでしょうか、世界の英語系のメデイアは大惨事に対して冷静、沈着な日本人を“平常心を保ち禁欲的な生活を送る”という意味の“ストイック(Stoic)”という言葉で表現しているところが多いようです。

Stoic”の語源は古代ローマ時代のストア派哲学の“ストア”からで、イギリスの新聞「ファイナンシャルタイムズ」の読者投稿欄には今回の大震災での日本国民の対応に“Japonic ジャポニックという新語を造るべき”という提案も出されていると報じています。

ファイナンシャルタイムズの東京支局長ミュア・デイッキー氏は“大災害にも冷静、沈着な日本人が悲しみや痛みを表に出さないのはサムライの精神が引き継がれているから”と解説し、ついに武士道までが引用されるほど美化された報道振りに驚かされます。

こういった日本国民への賞賛の論調は各国の支援活動にも大きな影響を与えているようで、世界の隅々、134を越える国々から多種多様な形で寄せられています。中でも、アメリカで拡がっている「100万羽のオリヅルを贈ろう」という動きには胸を打たれる想いです。

ニュージャージー州にある名門・プリンストン大学を中心に50以上の大学や団体が参加、日本に頑張って貰おうという祈りを込めて、100万羽を目標にオリヅルを折って、ニューヨーク現代美術館(MOMA)に飾ろうという運動が起こり、今や、小・中学校も含め全米に拡がっているとある雑誌の記事が伝えています。

何故米国人の間に折鶴なのか不思議ですが、2歳の時広島で被爆、11歳で白血病、12歳で亡くなった佐々木禎子さんの存在でした。

病床で千羽鶴を折り続け、644羽で息を引き取り、残りの356羽は友人達が思いを引き継いで折るという話は、米国人作家エレノア・コア氏の「Sadako and Thousand Paper Cranes(禎子と千羽鶴)」に書かれた物語で、アメリカの多くの小学校で副読本として読まれ続けていて、「サダコ」の認知度は日本よりも高いのだそうです。

一方、対照的に原発関連の報道は日本より相当厳しく、観光客が激減し、日本を離れる外国人も後を絶ちません。もし私が海外駐在中で同じような事故があれば、おそらく会社からは家族の帰国命令、政府からは帰国勧告・・ということになったでしょう。いつでも逃げて来いという米国の友人さえもいます。事態打開には正確で迅速な情報公開に努め、沈静化を待つしか方策はないのでしょうか。 

 
 
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