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四月一斉入社の不思議 2011年5月5日放送

 4月は入学式、入社式など希望と祝賀気分に満ちた新しい出発の月ですが、今年は東日本大震災で自粛ムードが拡がり、さらに大きな被害を受けた企業なども数多く、入社式どころか、採用、内定の取り消しといった最悪の事態も予想されています。

長引く不況の影響で、大学生の就職内定率が低く話題でしたが、今年の卒業者に占める就職者の割合「就職率」は、2003年の55.1%を下回り過去最低を記録したと言われ、就職浪人や留年組が多くなり、景気の早期回復も期待できず厳しい状況と言えます。

 4月に一斉入社という光景は長い間続いて来た最も日本的な慣習。新卒を採用して育てるという考え方で、年功序列制が根底にあり、民間企業だけでなく行政機関でも同様で、忠誠心、帰属意識、チームワークなど多くの利点もある一方、非効率、グローバル化の動きに合わないなど、ここ数年見直そうという気運もあります。

 実は、英語には「入社式」に相当する適切な表現はないのです。私も17年間、米国で仕事をしていたのですが、日本風な入社式はやったことも無ければ聞いたこともないことに気が付きました。

日本の企業が外国へ進出して事業活動をする場合、現地語もろくに出来ない日本人社員は使えず、新入社員を教育する時間の余裕など無く、即戦力としてそれぞれの職務のプロを現地で採用して行かざるを得ません。例えば販売面では、まずトップの営業担当副社長を採用し、彼に任せて営業部長、課長、営業マンを採用、当然の如く即戦力を採用するわけでライバル企業からの引き抜きが主な手段となります。これは事業がある程度軌道に乗った後も変わらず、必要な人材を必要な時に採用するわけで、新卒者を一斉に採用、入社式と言った行事も定着しないわけです。

 特に米国では職能別にそれぞれ給与の相場感があり、例えば地域担当の営業部長なら年俸幾ら位、全米担当の営業本部長なら・・という相場が業界によって見当がつきます。また一般職でも重役の秘書なら幾ら、銀行の窓口担当ならいくら・・と言った具合です。

社員も、同じ会社で給与も地位も上がる可能性があれば頑張り、チャンスが無くさらに良い待遇の会社があれば何時でも移る、自分のキャリアアップのためなら会社を替えるのは常識というわけです。

企業にとっても必要な時に必要な能力の人材を採用するわけで効率的な面もあると言えます。日本でも能力主義、効率主義が叫ばれる一方、年功序列も残って正規、非正規社員の待遇差が問題となり、同一労働同一賃金などが社会問題化、今は何となく混乱気味です。

最近は大学生の就職活動が早期化の傾向にあり、3年生になると早速始まるようで、肝心の勉強も手につかず、4年間の大学生活の半分近くを就職活動に費やすという本末転倒な状況が起こっています。

毎年ある時期になると、ダークスーツに身を固めたいわゆるリクルートスタイルでの会社訪問姿が目立ちます。一斉入社というシステムの無い外国人には異様な光景と写るのかも知れません。

先日、ある雑誌に載っていた記事を見て驚きました。交換留学でアメリカの大学に編入、日本へ戻って来たのが4年生の夏、すでに就活の時期は終わり就職浪人になってしまったというのです。

ある成績優秀な東大生の話、途中まで国家公務員を目指し勉強していたが、事情があって一般就職に切り替えたが時すでに遅く、やはり就職浪人の道を選ばざるを得なかったそうです。就職内定に間に合わなかっただけで将来性のありそうな若者が就職浪人というハンデを負うことになります。

 最近では、将来が不利となる就職浪人を避けるため卒業を延期し、正規の授業料の半額を払って就活を続ける学生やそれを受け入れる大学も増えているとか、どこかが間違っているような気がします。

多くの日本企業、特に大手では「○○大学・○○年卒」というレッテルが、入社後20年、30年経っていろいろな職務を経験しても、何時までも付いてまわり、評価の尺度になったりすることが多いのに驚きます。典型的な年功序列の中央官庁、「○○年卒」のために天下りが無くならないのは、この辺にも要因があるのでしょう。

米国では採用の時に年齢、性別、民族、宗教などを質問することは禁止されていて、いわゆる中途採用がその後の昇進に不利になるようなことはなく、あくまで実績、能力の冷徹な評価が基準です。

 他民族、移民国家の米国などと比べ、単一民族で国民の能力も平均して高いという日本の特殊性では「一斉入社」が適切な方法という考え方もありますが、大震災で現代史の分岐点になるとも言われる2011年、社会の各方面を見直す良い機会なのかも知れません。

 
 
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